■2004年の短歌ドリル
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わざとらしい表現を避け、“自然に”“素直に”をモットーに。
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11/22「酒」
酒瓶を叩き割りてし流す血のごと赤々と命の猛ぶ
11/17「雪」
コバルトの空に響けりちんちんと触れるレースの編み針の音
11/16「冷蔵庫の中」
マヨネーズ搾りつくせば口づけをねだるゆうべのきみ甦り
11/15「お天気」
霧雨にからだを丸め停車場を走り過ぎたり朱(あか)き猫バス
03/19「塔」
煤ばんだビニール・シートを貫いて光降らせよ東京タワー
03/18「平」
純白の金平糖を噛み砕くごと傷つけぬ友が心を
03/17「手紙」
アンティーク・ドールの見張る隙をつき封を舐めたり薔薇の模様の
03/16「丸いもの」
磨かれた蛇口の先で膨らみを増してゆく玉 母となる妻
03/15「船」
オレンジの水風船を突き破る はじめ胎児は重力を知る
03/13「家具」
異界より招く腕あり花嫁の衣装着せたる衣桁の裏に
03/12「劇」
東京の土産ひも解く演出も要らぬ我が家の科白劇かな
03/11「身近な人」
ひび割れたショート・ブーツの爪先で“LOVE”の文字かく 喫煙室で
03/10「雪解け」
南天の赤き涙をこぼしてし春に溺るる雪うさぎかな
03/09「感謝」
カスタマー・サービスセンター 十匹の働き蟻のずらり居並び
03/05「カタカナ」
縊れるがごとき形(なり)にて鴨居より我を責むるか破(や)れバスローブ
03/04「青」
空っぽの胃に青汁を流し込む たぶん今日こそいいことがある
03/03「三月三日」
溜め息に霞みて消えぬ“しあわせ”もひいな飾りもガラスの向こう
02/27「朝日」
ブラウスを開き朝日を招き入る太古我らは女神であった
02/26「かなしみ」
肉恋しただこのために生まれりと啜り泣きつつ我が身さぐりぬ
02/25「老」
日溜まりを背負いて座り母の云うあの老猫は去年(こぞ)に逝けりと
02/24「闇」
砂嵐ちらちら闇はたじたじと戦きおりぬうたた寝の後
02/23「野菜(山菜なども含)」
悩みては心崩るるぐじぐじと痩大根を卸すがごとく
02/21「競争」
兄貴から順に逝けよと二番目の叔父は嘆きぬ我が叔母の通夜
02/16「紫」
在りし日の祖父大喝すごとくなり 春一番に紫煙千切らる
02/05「糸遍」
終わりなき命ありとぞ 小春日の風の行方を仰ぎ見て知る
02/04「変わり目」
汗だくのシャツを脱ぐよに今日までの厄介な僕と闘っている
02/03「春の花・植物」
諦めぬ諦めぬとて大犬の陰嚢(ふぐり)踏み付け歩む我あり
02/02「きらめき」
空色に染まるシュプール振り仰ぐ男の肌もきらめいており
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