題詠マラソン2005投稿作
032 : 乾電池
---4/18
その指でプラス突起に触れて乾電池はスカートの奥にある
031 : 盗
---4/11
マジになどなるな多くは盗品を横流しした程度の恋だ
030 : 橋
---4/11
斧を振りかざしてるのはポーズだからこの吊り橋を渡って どうか
029 : ならずもの ---4/11
「長靴をご所望ですか?」訊ねればならずものっぽくそっぽ向くタマ
028 : 母 ---4/7
爆音をたなびかせ巣立ちゆく子ら航空母艦は傾いている
027 : 液体 ---4/7
とめどなく液体化しているわたし ちゅるっと目玉を吸ってください
026 : 蜘蛛 ---4/7
これ以上どう頑張ればいい今朝は蜘蛛男(スパイダーマン)が墜落死した
025 : 泳 ---4/4
這いずっていても本当はわかってた宇宙遊泳のような生き方
024 : チョコレート ---4/4
湯煎などしてやるものかチョコレートは力まかせに砕くのがいい
023 : うさぎ ---4/4
息絶えるときすらふてぶてしかったうさぎ鳴き声ひとつあげずに
022 : 弓 ---4/4
弓弦を絞り背骨が砕け散るほど頑張って私を愛せ
021 : うたた寝 ---4/4
髑髏(しゃれこうべ)語りだすのを待てずマグダラのマリアはうたた寝をする
020 : 楽 ---4/3
かみさまは天にまします新宿区神楽坂にはわたしがいます
019 : アラビア ---4/3
人類の滅んだ灰の平原をアラビア馬よ駆け抜けて行け
018 : 教室 ---3/29
血の不浄乳の腐臭を知らされて花嫁教室なんか行けない
017 : 陸 ---3/29
海賊よさらば秘宝の熱も冷め三十路おんなは陸路を急ぐ
016 : たそがれ ---3/20
寡婦(やもめ)らはほくそ笑みたりうす墨のヴェールのごときたそがれの内
015 : 友 ---3/20
女川 愛を貪るなかれとて加賀友禅はバプテスマ受け
014 : 主義 ---03/13
印象主義絵画か吾の輪郭を侵すおまえの傲慢な筆
013 : 焦 ---03/13
焦点の合わぬ眼鏡で吾が肌の「忍」の血文字を読めるのか汝(なれ)
012 : メガホン ---03/13
掌(たなごころ)ハートの形に結びしをメガホンにして叫ぶ「嫌いよ!」
011 : 都 ---03/08
天使らの上るヤコブの梯子にも似るか月下にそびえる都庁
010 : 線路 ---03/08
轟音とともにわたしは風となる 線路に残る桃色の肉
009 : 眠 ---03/08
緒の切れた数珠子のように落下する意識 真昼の眠りの淵に
008 : 鞄 ---03/08
鋸で断ったあなたの生首を鞄に詰めて傷心旅行へ
007 : 発見 ---03/06
死ぬことと生まれることは同義 既に発見されるまでもないこと
006 : 時 ---03/06
大時化(しけ)の波間げらげら笑いつつ君を沈めた。わたしは人魚。
005 : サラダ ---03/06
歯ごたえの無い人生は嫌 空のサラダボウルをかんかん鳴らす
004 : 淡 ---03/06
肌に沁むほど塩辛い恋をした吾は淡水魚ではなかった
003:つぼみ ---03/05
春いろのロウブをはだけ跪く きみのつぼみが膨らみを増す
002 : 色 ---03/02
魂(たま)と肉ひき裂かるるも悦(うれ)し疾くブロンズ色のくさび打て君
001. 声 ---03/01
乳房かかえ風呂のタイルにうずくまる ああ神さまの声が聞こえる
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